“サイクルタウンあげお”って御存じですか?(前編)

はじめにお断りしておきますが、本日の投稿は写真などは何もなく、新たな情報を提供するようなものではありません。
長文駄文の、いわゆる“チラシの裏”的なものですので、開発系のネタを求めて来られた方はスルーして頂いても結構です。

前回取り上げました上尾平方線の事業内容について、特に歩道を拡幅する代わりに車道の幅員が縮小されてしまうということに関しては、賛否が真っ二つに分かれるものなんだろうと思います。
上尾に限らず、また埼玉に限らず、歩行者、自転車、自動車と、それぞれの交通量に対してキャパ不足な道路は多いですが、同時にそれらの道路は拡幅や付替えも困難なのが実情でしょう。
上尾平方線であれば、あくまでも20mという幅員で、それをどう活用するのかという選択肢しかありません。
自動車を優先すれば歩行者と自転車に皺寄せがきますし、逆もまたしかりです。

私自身は自転車も自動車も使いますが、駅やその周辺へは自転車を使うことが多いため、どちらかと言えばありがたい変更かとは思っています。
とはいえ歩行者との兼合い、専用レーンが設けられるかどうかまでははっきりしませんので、自転車にとって使い勝手のよい道路になるとは限りませんが。

自転車には簡便で環境負荷の低い移動手段としての側面、手軽なフィットネス、スポーツの対象としての側面、競輪を含めて競技、プロスポーツとしての側面があるかと思います。
その環境負荷の低さ、エコ志向という観点や、サイクリングがここ数年ちょっとしたブームとなっていたりと、肯定的に認識されることもある一方で、自転車絡みの事故、特に加害側としての事故の増加や、相変わらず解消しない放置自転車の問題と、世間にはネガティブな印象を持っている方も多いのではないでしょうか。

社会実情データ図録さん(とても興味深いサイトだと思います)
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/index.html
によれば、都道府県別の自転車普及率(2008年)において、埼玉県は人口100人あたり76.9台と、全国一位になっております。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/7665.html

社会実情データ図録さんも述べられていますが、これはひとえに平坦な地形と鉄道駅までの通勤通学利用が多いこと(東京などより公共交通機関の路線及び運行密度が低いことの裏返しでもあるでしょうが)の賜物でしょう。
所有=利用とは限りませんが、これほどまで普及している割に、社会における自転車の立場、扱われ方は軽いものだと思えてなりません。

道路行政においてはまず自動車ありきで、旧いトンネルなどで顕著ですが、自転車(歩行者も)が存在しない前提で設計されたとしか思えないような危険箇所が沢山あります。
自動車が自転車に対する加害者にならないため、また自転車が歩行者に対する加害者にならないためにも、今後整備される道路の設計については、しっかりとした自転車の“居場所”を確保する方向に進んでいってもらいたいものだと考えています。

そうはいっても私は自己中な人間ですから、自動車を運転する立場の時には自らが自転車に乗っている時のことを顧みず、しばしば自転車に対して内心で中指を立てたりしているのが実際のところで、あまり偉そうなことは言えはしないのですが。

と、まあどんどん方向がずれてしまいましたが、タイトルの“サイクルタウンあげお”とはそもそも何ぞやと申しますと、こちらです。

『人と地球にやさしい サイクルタウン・あげお』
http://www.city.ageo.lg.jp/uploaded/attachment/948.pdf

見ればお分かりのように、上尾市環境基本計画というものの中で掲げられたテーマのひとつが出発点になっています。
またサイクルという言葉は循環と自転車のダブルイメージとなっておりますが、大きな命題として循環というものがあり、その一要素としての自転車という意味で使われています。
しかし当初の目的はどうあれ、自転車の利用を促進するためには、その受け皿となる自転車で利用しやすい道路の存在は欠かせません。
当然の帰結として環境問題に加え、交通問題としての側面が付加されることになりました。

市議会の会議録を追っていきますと、日常の足としての自転車及び道路から始まり、サイクリング、ひいてはサイクリングロードの整備へ、さらに自転車のまちとしてのまちおこしへと話が膨らんでいって、大変面白いです。
“自転車のまち”だの“まちおこし”だのといった言葉が出てくるにあたっては、市民にはお馴染みのあの企業はどうしても無視できません。
もったいぶるまでもなく、市内に本社及び工場を構えるブリヂストンサイクルのことです。

思いの外長くなってしまいましたので二分割します。
以下後編へ